自転車×ファンタジーでラノベを書く

自転車界に激震が走る――かはわからない――自転車ファンタジーストーリーを書きたい!

流星☆オン・ザ・バイシクル

流星☆オン・ザ・バイシクル(9)

●冒頭へ ◆ 小泉に連れられ、ライは団地の中では端の方、川沿いから団地の中へと続く道路沿いで川に一番近い位置にあるマンションの前まで来た。 高級感溢れるガラス張りのロビーの前で待たされることおよそ5分。少なくとも自分の住んでいるマンションの倍の…

流星☆オン・ザ・バイシクル(8)

(続き) ライの言葉を聞くや否や、童顔の女は果汁が弾けだすくらいの喜色満面っぷりで、 「あー、やっぱり! わああ、すーっごい久しぶりだね。まさかこんなところで会うなんて思ってなかったからびっくりしちゃった! えええ、すごいなあ……。まさかこんなと…

流星☆オン・ザ・バイシクル(7)

2話『もぐりんぐ』 ●冒頭へ ◆ 授業が終わると同時に荒川へ直行したライ。 昨日も今日も、夜の荒川で出会ったブロンドの乗り手のことが気になってしまい、学校にいても授業どころじゃなかった。 2日前、暗闇をものともせずに悠々と自分を抜いて行った謎の乗…

流星☆オン・ザ・バイシクル(6)

(続き) 横に並んだのは一瞬のことだったが、それでも目測90mmのディープリムに加えて、エアロ形状のフレームも確認できた。乗っている人物は欧米選手のように背が高いようで、サドルはライよりもかなり高く、ハンドルとの落差もものすごい。 そして、何…

流星☆オン・ザ・バイシクル(5)

◆ 大通りを東へ。車の少ない夜道を20分も進めば、東京と埼玉の県境辺りを流れる荒川に出ることができる。 一行はちょうど荒川沿いに続くサイクリングロードの南端、東京湾を背にする広大な河口が見渡せる地点に入ったところで一度止まった。 この時期はま…

流星☆オン・ザ・バイシクル(4)

◆ 「うわー、レースピじゃん。いいホイール履いてきたなー」 ライが到着したときの、晴海サイクルスタッフ年上3人組のひとり、鈴木のセリフだ。 「さすが元競技部」と、もうひとりの佐藤がこぼすように言う。 「今日は軽く走るだけって言ってなかったっけか…

流星☆オン・ザ・バイシクル(3)

◆ 2日後、日曜日のこと。 ライはこの日は午後からバイトで、夕方の休憩時間のことだった。 今年ももう5月になってから久しい。傾いても日差しにはまだまだ熱エネルギーが込められていて、時折吹く生暖かい風が心地よく感じられる。 店の表に愛用のアウトド…

流星☆オン・ザ・バイシクル(2)

◆ かくして高級ステーキ店へと足を踏み入れたライとその姉。 ライ姉が選んだのは、店内の適度な仄暗さが幻想的な気分を呼ぶ、ライひとりでは敷居が高くめったに入ったことのないような店だった。 ふたりはふたり席のテーブルを挟んで向かい合い、しばらく姉…

流星☆オン・ザ・バイシクル

◆ 誰もいない夜の河川敷――。 夜空の下で舗装路に立てば、そこにあるのは道の一寸先も見えない圧倒的な闇。 水流のさざめきが空間を支配し、草木は頼りなしに小さくそよいでいる。 そんな夜暗を切り裂いて、それは姿を現す。 高速回転する鋭刃の如きカーボン…

流星☆オン・ザ・バイシクル(1)

1話『荒川の幽霊ライダー』 ◆ 迅雷。 『じんらい』ではない。いや、『じんらい』と読むのに間違いはないが、疾風迅雷の「迅雷」ではないという意味だ。 わかりやすく言えばじん、らい。すなわち迅・雷。前の部分が名字で、後ろが名前。そう、これは迅雷とい…